心理学の世界では、人間はたった一つの動機で行動を決めている、と言われているそうです。
「えつ、そんなバカな!」「動機は人それぞれでしょ?」と言う声が聞こえてきそうです。
いえいえ、本当にそうなんです。
たった一つの動機です。
それを知ってしまえば、子どもとのコミュニケーションは、とても楽になりますよ~(^_-)
じゃあその「動機」とは何でしょう?
実は・・・
『痛みから逃げて、快楽を求める!』
ということです。

どうです?
当たり前のことと言えば当たり前のことですね。
学校の先生も、政治家も、スポーツ選手も、となりのお母さんも、 全員が「痛みから逃げて、快楽を求める」ために、行動をしています。
お母さんからいつも「勉強しなさい!」と言われて嫌な思いをすれば、子どもは勉強が嫌いになります。
勉強が「痛み」になつて、ますます勉強できなくなります。
反対に、工夫して勉強を楽しみ、成績も良い子どもは、 勉強がとても好きになります。
勉強が「快楽」になっているのです。
これはシンプルですが、知っておくと使い勝手がとても良い知恵です。
『痛みから逃げて、快楽を求める・・・』
これは本当に重要な知恵ですので、『痛みと快楽の原理』として、良く覚えておいてくださいね!
大人は痛みを我慢して行動することもできます。
でも、子どもにはそれはなかなか難しくてできません。
『痛みと快楽』の原理に、行動が直結しているからです。
ご自分の子どもの行動をいろいろ思い出してみてください。
・・・ほとんどは「痛みと快楽の原理」で説明できることがお分かりになるでしょう。
ですから、子どもが少しでも頑張ったのを見逃さず、心からほめてあげることが必要です。
あなたとの関係に『快楽』 を結び付けるのです。
小さなことであっても、子どもの良い点を見逃さないで、ほめてあげてください。

歴史上の偉人や、現代の成功者と言われる方たちは、子どもの頃に肉親(もしくは血は繋がっていなくても、 心から自分のことを思ってくれていた人物)から受けた言葉の影響を、 ご自身の成功の理由に挙げられる方がとても多いです。
最近では、ソフトバンクの孫正義社長の話が知られています。
(孫さんは、私が尊敬し敬愛する人物の一人です。)
孫さんは幼い頃からお爺さんの膝の上で、「お前は天才だ」と言われ続けて育ったとおっしゃっています。
そして、 自分を本当に天才だと信じて疑わなかったそうです。

明治維新の時代には、坂本竜馬と姉の乙女の話が有名です。
いじめられっ子だった竜馬の中に、ある素晴らしさを竜馬に伝え、「お前はできる」と言い続けたのは、実は姉の乙女でした。
後に竜馬は回想して、 乙女が自分の人格や精神に与えた影響力の大きさを語っています。
ぜひ子どもの本来の素晴らしさを認めて、どんどんほめてあげてくださいね。
ところで、ほめ方にもコツがあることが分かっています。
子どものタイプは3つあり、ご自分の子どものタイプに合ったほめ方をすると、 とても効果を発揮します。
『感覚重視』『人間関係重視』『事実重視』の3つのタイプ別に見てみましょう。
まずそれぞれのタイプの説明をします。
『感覚重視タイプ』の子は、物事を直感で判断し、表現力がとても豊かです。
親や友達から一目置かれたいという願望が強く、拡大志向を持ち、輝く成功を目指します。
合理的思考も持っています。 やや調子にムラがあるという特徴もあります。
『人間関係重視タイプ』の子は、皆と仲良くしたい、 人とケンカや競争をしたくないという願望が強いです。
信頼できる人間関係を一番大事にする子で、一人でも頑張れますが、 人と協力することで更にその子の良さが活かせます。周囲に気を配ることのできる優しさを持っています。
人に説明するときは、 相手に理解できるよう、または自分が誤解されないように、話が長くなりやすいです。
「なんで?」「どうして?」という言葉が多いです。
それは、一から十まで全て知りたいと思う傾向があるためです。そのためやや無駄が多いのも特徴です。
『事実重視タイプ』の子は、夢を具体的に実現したいという願望を持ちます。
常に自分のペースを守り、自分の好きなことができる世界を構築したいと考えます。
表現力は3タイプの中で一番控えめです。
優しさを表現する際は、さりげない気遣いという形で表します。
自分がそうなので、人の笑顔やお世辞に疑念を持ってしまったりします。
3つのタイプのいずれかに、完全に当てはまる子どもはあまりいません。
一番強いタイプと、 二番目に強いタイプの混合である場合が多いです。
ご自分の子どものタイプを知るには、これからお話するほめ方を実践して、 一番子どもが反応する方法を見つけてください。
同じほめるでも、やり方がぜんぜん違いますね。
例えば、子どもがお母さんのために、似顔絵を描いてくれたと仮定しましょう。
「お母さん、 これ学校で描いたんだ~」と絵を持ってきてくれた場面を想像してみてください。
各タイプ別のほめ方は次の通りです。
感覚重視タイプ
オーバーアクションで感情を込めてほめます。
『感覚重視タイプ』の子どもには、
「すっご~い!じようず~! 良く頑張ったわね!」
「メチャメチャうまいじゃな~い!」
「最高~!あなた天才じやな~い!?」
のように 感情で喜びを表現してあげると、子どもの心に響きます。
感覚で物事の本質をとらえる子だからです。
この子に他の褒め方をすると、子どもの喜びは半減します。
感覚でとらえる子には、 具体的な説明は必要ないのです。
「親が感情を込めて喜んでくれた」
「心からほめてくれた」
と思えることが大切です。
(・・・ちなみに私はこのタイプかな?)
『感覚重視タイプ』の子に具体的な質問などすると、「心から喜んでくれてないんだ」とがっかりさせることになります。
ちょつと恥ずかしいかもしれませんが、過剰なぐらいの表現がちょうど度良いのです。
人間関係重視タイプ
子どもが頑張った動機をほめます。そして、子どもがどのようにやったかを聞いてあげます。
次に、『人間関係重視タイプ』の子どもには、 彼の動機や人間性をほめてあげてください。
「良くやったわね~。きちんと約束を守ったのね!えらいわ。」
「ありがとう~。お母さんのために措いてくれたのね。本当に嬉しいわ~♪」
などです。
動機をほめた後は、絵を良く見て具体的な点を指摘し、 「うんうん♪ここは良いね~。どうやって書いたの?」など、子どもがそれをどのようにやったかを質問してあげてください。
子どもは自分のことが認められていると感じ、嬉しさとお母さんへの愛情は倍増します。
『人間関係重視』の子は、人に認められ、 人とのつながりを感じることが大事だからです。
この『人間関係重視タイプ』の子に、先の感覚的なほめ方をすると、子どもは「本当に僕のしたことを分かってくれているのかな?」 と疑ってしまいます。
具体的に、自分が子どもの気持ちに感動したことを伝えましょう。
また、 子どもに良かれと思って「事実重視タイプ」のように改善点を指摘したりすると、子どもは自分の前向きな気持ちや善意を、 お母さんが十分に受け取ってくれていないように感じて、非常に悲しい思いをします。
『人間関係重視タイプ』の子は、 人に認められることで次のモチベーションを得ます。
事実重視タイプ
まずほめてから、次に良い点を具体的に伝えてあげ、さらにもっとこうすれば良くなるという改善点を伝えます。
『事実重視タイプ』の子どもには、「あら!どうもありがとう♪」 といった後、絵をよく観察します。
ここまでは『人間関係重視タイプ』の子と同じです。
ですがその後は、 大人の視点から見て具体的にコメントしてあげます。
まず、「ここは良いね。素晴らしいね。」
次に、「この部分は、こうしたらもっと良くなると思うよ」
という改善点を教えてあげます。
『事実重視タイプ』の子どもは、自分の仕事が正当に評価されているかどうかを気にします。
『人間関係重視タイプ』の子が改善点を言われると、 自分の動機が否定されているような寂しさを感じるのに対して、『事実重視タイプ』の子は、自分を正確に知り、新たな目標ができたことで、 次のモチベーションにつながります。
このタイプの子に対し、感覚的にほめた場合、「ぜんぜん分かってないな~」と思われてしまいます。
また動機や思いをほめると、子ども扱いされているように受け止めてしまいます。
タイプによってぜんぜん違いますね。ご自分の子どもがどのタイプに当てはまるかは、実際に3つのほめ方を実践してみて、 一番ピッタリ合うものを探してみてください。
3つのどれかに当てはまると思いますよ~。
次に叱り方についてお話します。
叱るときにもコツがあります。
「やっておきなさいって言ったでしょう!」などと、感情的に怒るのはダメです。
子どもは「隠す」ようになります。
「どうしてやらないの?」 などと、問い詰めるのはダメです。
子どもは「言い訳」を考えるようになります。
何も言わないのは一番ダメです。
子どもは自分の存在が認められていないと感じて、「自尊心を失います」。
この子は他人の自尊心も考えられなくなります。
(※このあたりのことは、コーチングの手法になってきますので、別の機会に詳しくお話ししたいと思います。)
非常に大切なことですが、叱る時は、
「行為」そのもの(=Doing) を叱り、子どもの「存在」(=Being)は決して否定してはいけない
と言うことです。
(例:「○○なことをするなんて、あなたは××ね!」のように言ってしまうと、 子どもに××という「レッテル」 を貼ってしまうことになります。)
少し長くなってしまいましたが、もし参考にしていただけるなら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!